第７回 カツラの技術と品質（後編）

前回（第５回 カツラの技術と品質_上編）でも、少し触れました定期的な技術講習会は、まさにスタジオ技術者のレベルアップが主要な目的です。

私どもが主催する技術講習会では、自社のスタッフのみならず競合他社のスタッフも自由に参加することができます。

この件につきましては当初、自社スタッフに反対されました。また、懇意にしていただいている協力会社の方にも「どうしてライバルに塩を送るような事をするの」と何度も聞かれました。

ですが私は、そのような意見には意を介さずに「誰もが自由に参加できる技術講習会」にしました。

なぜ私がそうするのか？

それは、カツラ業界全体の地位向上を願うからです。

近年は、本来の品質と価値に見合わない法外な価格でカツラを売りつける会社や専門店は減りましたが、過去にはそのような会社・専門店が多かったことは事実です。

そして今でも、明瞭な価格体系を公開する会社・専門店は多くはありません。

このようなことから技術講習会では、単にカツラの採寸・調髪・仕上げなどの技術だけでなく、各分野の専門家をお招きして、接客マナーや企業モラルあるいはスタジオ経営上の法務・財務など、多岐にわたる講習・講演も開催しています。

カツラ業界が健全な営業活動をもと、競合他社も含めた全体で切磋琢磨しながら地位向上することは、私自身の望みであり、ひいては当社ハリウッドマジックの発展にも寄与すると考えています。

実際、技術力を大切にしている専門店は、規模こそ小さくとも令和の現在まで健全な形で生き残っています。

今後も、技術力の向上と新製品の開発に全精力をつぎ込んで『お客様の期待を超えるカツラを提供』してまいりたい。これが私の使命だと思っています。