さらば!毛髪の縮れ(ピーリング)よ!-ピーリングを起こさせない予防方法(2)
正しいピーリング予防方法。今回はその2回目です。
ちなみに前回はコチラ。
さらば!毛髪の縮れ(ピーリング)よ!-ピーリングを起こさせない予防方法(1)
2回目という事で「直せないピーリング」について解説、予防方法をお伝えしたいと思います。
みなさん、お付き合いのほどよろしくお願いします。
前回はピーリングには2種類あるということをお伝えしました。
ひとつは、摩擦が原因で起こる『直せるピーリング』。これはウィッグに触れた指先やブラシの往復運動が原因で毛髪が折れ曲がり、縮れてしまう現象です。
ですがこのピーリングは熱処理により簡単に直すことができます。縮れの量が多ければ作業時間は結構かかってしまうのですが・・・それでも直せるだけマシです。
『直せるピーリング』と『直せないピーリング』の比較
言葉で説明するより、まずは写真を見て、どんな状態なのかイメージしてみましょう。実際にどんなことが起こっているのか、画像でみた方が早いですから。
ちょうどビニール製のシートがあったのでこれを短冊状に切り出します。これを一本の人工毛にみたてて、実際にピーリングを再現してみましょう。
一本手のひらに載せて、指の腹でゴシゴシとこすり上げていきます。
すると下の写真のようになります。
これが「直せるピーリング」と呼ばれる状態です。摩擦によって折り曲げられ、屈折して反り返ってしまいます。
見るからにひどい状態ですが、これは熱処理などの技術を使えばわりと簡単に直せます。化繊の服のシワをアイロンで伸ばすイメージです。
熱をかけながらしわを伸ばせば
この通り! 透明なビニールのシートですから若干折り目が残って見えますが、より細い実際の人工毛ならちゃんとまっすぐに戻った状態になります。
それでは次に「直せないピーリング」を再現してみましょう。
一本のビニールを手に取り、両端をつまみ、左右にぐいーっと引っ張ります!切れるまで引っ張ります!
ビニールのヒモは引っ張られ、どんどん細くなっていき、最後にはブチンと音を立てて千切れてしまいました。
それが下の写真です。
ご覧の通り先ほどと同様にチヂレています。
「直せるピーリング」とはどこが違うのでしょうか?少し拡大してみてみましょう。
引っ張られて伸びて細くなっています。指でつまんでいたところよりも半分くらいの幅でしょうか。見事に変形してしまっています。
みなさんもビニール袋を破れるまで引っ張った時のことを想像してみてください。
強い力で引っ張りすぎると、伸びて元に戻らなくなります。それは簡単に想像できますよね。
こうなってしまうともう熱処理でも元に戻すことは不可能です。
これが「直せないピーリング」、専門的には塑性変形と言います。
「直せないピーリング(塑性変形)」の予防方法
先ほどの写真でどのようなことが起こっているのか、だいたいイメージできたのではないでしょうか?
「直せるピーリング」は折り目が付いてしまった状態。だからアイロンをかけてやればちゃんと元通りの姿に戻せます。
ですが「直せないピーリング」はもう手の施しようがありません。取り除いて別の毛を植えるか、ダメならウィッグを作り変える以外に方法はありません。
実はこれ、主にブラッシングのときに起こっています。毛髪を整えるとき、ブラシの速度が早すぎるのです。
ブラシのクシ部が何かの拍子に毛髪に引っ掛かかり、勢いよく毛髪を千切り、それが原因となってピーリングが起きるのです。
ですが予防方法はいたってシンプル。毛髪を引きちぎらなければいいのですから、ブラッシングの際、手を動かすスピードをゆっくりにするだけでもピーリングを抑える効果があります。
また、髪に力がかかりにくいブラシを使うことも有効な方法です。ブラシは専用品である必要はありませんが、ご興味がおありでしたらウィッグを傷めにくいブラシはお店にも置いてありますし、出張の際は技術者が持っていますのでお声をかけていただければお見せできます。どうぞお気軽にお声をおかけください。
予防方法はもうひとつあります。
ウィッグを洗う際、ブラッシング洗いをすることです。前回お知らせしたブラッシング洗いです。
ウィッグに滑りやすい洗浄液が付いた状態でブラシを通すことで細かいモツレは本当に簡単にほどくことができます。
モツレのない状態でウィッグを乾燥させることで、セットする際にもブラシ通りがよく、無理な力がかかりにくくなるのです。
もし、指先でゴシゴシ洗ってブラッシングもせずに乾かしてしまうと・・・それはセットの時にピーリングが起きやすいとても危険な状態になってしまいます。
だから洗う時には必ずブラシを使うようにしてください。
前回「ウィッグを洗う際、ブラシを一方通行で動かして!そうすれば9割がたチヂレに悩まされなくなります」と書きましたが、こういう理由もあってのことなのです。
ピーリング対策、重要なふたつの予防方法
いかがでしたか?
毛髪縮れ(ピーリング)について種類、原理、予防方法とたくさんのことを書いてきたので少し疲れてしまったかもしれませんが、ピーリングについて書ききったと思います。全部覚えておく必要ななんてありません。ですが次の2点だけは必ず守ってください。
1.ウィッグを洗う時はブラシを使って一方通行で動かす。指先を前後左右に動かして揉むように洗うのは厳禁。
2.セットの際、ブラシを動かすスピードはゆっくりと、毛髪に負担がかからないようにする。できれば専用のブラシを使って。
これを守るだけでピーリングに悩まされることなく、ウィッグの寿命もグンと伸びるはずです。
万一、ここに書かれている通りにしてチヂレがひどくなったという方がいらっしゃれば、ぜひご一報ください。
きっと何か特別なチヂレの理由があるはずです。一度拝見させていただき、原因究明をさせていただけたらと思います。
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